ギャンブル依存症について

ギャンブル依存症

現在、日本国内でギャンブル依存症の疑いがある人の数は320万人にも上ると言われています。

ここではギャンブル依存症とは何か、どういった人がギャンブル依存症になりやすいのか、科学的な考察も含めて簡単にわかりやすく解説していきます。

ギャンブル依存症とは?

賭け事において、人はたとえ勝てなくても小さな興奮をおぼえます。しかし、やり過ぎると、たまの楽しみであるはずのものが精神的な依存に変わってしまうことがあります。

脳はより多くの快感を求めるようになり、精神の構造が大きく変化、受けた悪影響から回復するには数週間、数ヶ月、あるいは数年にわたることも。一般的に人はこれを「依存症」と呼んでいます。

以前は依存症とは、不安を解消するために動機づけられた強迫観念とみなされていました。しかし2013年、「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)」の物質関連障害および依存性障害の項目が更新され、病的なギャンブル傾向を持つ人は今では物質依存症に似た病気として認識されています。

ギャンブル依存症になりやすいのはどんな人?

ほとんどの人は、たとえお金を失うことになってもたまに軽くギャンブルを楽しむことができます。しかし、一部の人は依存症となり自分や家族の生活に支障をきたしたり、危険にさらしたりするレベルにもつれこむことがあります。

そういった過度のギャンブル中毒は、世界保健機関(WHO)によって障害として認識されており、報告書ではギャンブル依存症になりやすい人は以下の通りであると示唆されています。

  • 女性より男性の方が5倍多い
  • 仕事中、勉強中、退職した人よりも、失業中の人の方が多い
  • 25歳から34歳が最も多い
  • 白人やアジア系よりも、黒人や少数民族の出身である可能性が高い
  • 精神的不健康の兆候を示す可能性が高い

また、科学的な研究によると、生まれつきギャンブル依存症になる傾向が強い人が存在します。ギャンブル依存症者や薬物中毒者は、報酬追求行動や衝動性の遺伝的素因を持っていることが多いとされており、次の2つの点が一般的な人と比べて大きく違います。

  1. 脳の報酬系が不活性であること
  2. 前頭前野の活性化が少ないこと

脳の報酬系が不活性であるということは、平均的な人が経験するような自然な報酬による幸福感や喜びを経験できないことを意味します。そのため、通常よりも報酬系を刺激するような活動、つまり、満足のいく量の多幸感や喜びを感じるのに十分な活動、例えば、薬物摂取やギャンブルが生み出すハイな状態に引き寄せられるのです。

また、前頭前皮質は、意思決定、衝動の制御、認知制御に関与する脳の領域で、ギャンブル依存症や薬物中毒者は、一般人よりも前頭前皮質の活性化が低いことが明らかになっています。そのため、サイコロを投げたい、スロットマシンのレバーをもう1回だけ引きたいという衝動を抑えるのは、依存症者にとってはかなり難しいことなのです。衝動的な性格のため、短期的な行動の長期的な影響を判断することが困難であるからです。

このような素質があるため、いったんギャンブルを始めて最初の勝ちや連勝を経験すると、その人はギャンブルを続ける可能性が高くなります。報酬系を活性化し、普段は得られないドーパミンを得たため、再び多幸感を味わおうと衝動的に続けてしまうのです。しかも脳は刺激に対する報酬系の反応という点で、物理的に変化し始め、そして耐性がつきます。

携帯電話のゲームで、最初はすごく面白かったのに何度か遊んでいるうちに楽しくなくなったという経験はありませんか?これは、ギャンブルや薬物中毒における耐性ができる仕組みと全く同じではありませんが原理は似ており、脳がどのように変化するかを知ることができます。

簡単に言うと、脳がそれに「慣れて」しまい、その活動から当初ほど刺激を受けなくなるのです。科学的に言うと、過度の薬物使用やギャンブルで脳が過剰に刺激されると脳は防衛反応を高め、報酬系の効率を低下させます。ドーパミン受容体の数が減り、脳を通過するドーパミンが少なくなるため、個人が経験する快感のレベルが低下します。

ギャンブルには薬物やアルコールなどの物質の使用、さらにはショッピングなどの行為と同様に、その使用が強迫的になり、制御不能に陥ったときに依存症になる可能性があるということです。

まとめ

ギャンブルに対する依存症とは「お金を稼ぐのが好きで、勝つのがもっと好きだから、やりすぎてしまう」というような単純なものではありません。

ギャンブル依存症を理解するには、楽しい活動をするときに脳が自然にどのように働くかをきちんと理解していく必要があるでしょう。